アダム・スミス 道徳感情論1.1.33 役に立つから判断やセンスを受け入れるわけではない

 こうした特質の有益さについては、最初に私たちに推薦するものとして考えられているのかもしれない。たしかに疑いようもないことだが、有益さについて考えてみるということは関心をむけてみることであり、新たな価値を特質に生じるものである。けれど本来は、他のひとの判断を受け入れるのは、有益さからではない。正しくて、間違いがないからであり、真実と現実に一致するからなのである。そしてこうした特質が有益さにあると考えるのも、自分と一致しているからなのである。美的センスについても同じであある。もともと認められていたセンスは、有益だからではない。対象にふさわしい繊細さと正確さが、センスにはあるからである。こうしたすべての特質に有益さをもとめる考えは、明らかにあとになって思いついたものであり、私たちの賞賛をもとめて推薦しているわけではない。(さりはま訳)

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