アダム・スミス 道徳感情論 1.1. 43 怒りにもいろいろある

怒りが傲慢かつ残虐であり、抑制されることも、抑えられることもないまま、憤怒に身をゆだねるとき、その怒りは嫌なもののなかでももっとも嫌なものになる。だが私たちが賞賛する怒りとは、崇高で、寛大なものであり、巨大な悪を追求するものである。けっして受難者の胸をかき乱しがちな怒りなのではなく、公平な観察者の胸に自然にわきあがる怒りなのである。受難者の姿をみて公平な観察者に呼び起こされる憤りは、言葉も許さず、身ぶりも許さない。つまり公平な感情で語ることのできない憤りというものを解き放そうとしない。公平な感情の持ち主は、頭のなかで復讐を企てることもなければ、罰をあたえることもなく、無関心なひとが復讐や罰の実施をみて反応する喜び以上のものを感じることもない。どんな言葉であれ、身振りであれ、その怒りは認めず、公明正大な感情に照らした指示を逸脱して状態から抜け出すことも認めない。また頭のなかでも、さらなる復讐を試みたりはしないし、もっと厳しく罰したりはしない。その復讐や罰の程度は、平凡なひとが許容できる範囲をこえることはない

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