アルフレッド・マーシャル 経済学原理 1巻.Ⅱ章.経済学の内容とは.1

§1 経済学とは、ふつうの職業生活において生活したり、行動したり、考えたりするなかで、人間について考察する学問である。だが経済学が関わる動機とは、職業生活における振る舞いにもっとも強く、確実に影響をあたえるものである。なんらかの価値がある人は皆、その高い本質を職業でも発揮する。他の場面と同じように職業においても、影響をあたえるものとは個人的な愛情であり、義務について理解する力であり、高い理想を尊敬する力である。能力のある発明家や組織が手段や策を改善していくのに用いる最高のエネルギーとは、崇高な競争によって触発されるものであり、自分自身の富を愛する心情からではない。しかし、それにもかかわらず、ふつうの仕事における一番つよい動機とは、仕事への物質的な報酬である給料への欲求なのである。自分のためだろうと、ほかのひとのためだろうと、崇高な目的があろうと、基本的な目的を充たすためだろうと、給料があいだに存在するのかもしれない。そういうわけで多様性に富んだ人間の本質が動き始めるのは給料なのである。だが誘因となるのは、はっきりとした金額合計なのである。労働者の人生において強固な動機となるものは、この明確で、正確な金の測量方法であり、そのおかげで経済学は人間に関する他の研究より優ることになった。化学者の素晴らしいバランスのおかげで、化学が他の物理科学よりも正確なものになったように、荒々しくて不完全なものであろうと、この経済学者のバランスのおかげで、経済学は他の社会学のどんな分野よりも正確なものになった。だが、もちろん、経済学を物理学と比べることはできない。経済学とは、人間の本質における変わりやすくて理解しがたい人間の本質を扱うものだからである。(1..1).

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