アダム・スミス 道徳感情論1.1.48 今の段階からステップアップできるかが問題

こうした場合、ある行動がうけるべき非難や賞賛の程度を決めるとき、しばしば二つの異なる基準をもちいる。最初の基準とは、完全なまでの礼儀正しさと完璧さについての考えである。だが、こうした難しい状況では、人間がどんな行動をとろうとも、礼儀正しさにも、完璧さにも到達したことはなかったし、今でも到達できないでいる。礼儀正しさや完璧さと比較してみると、すべてのひとの行動は、いつまでたっても非難されるべきものに思え、不完全なものに見えるにちがいない。第二に、こうした完璧に近いところにいるのか、それとも離れたところにいるのかという、どの段階にいるのかという考えである。人の行動のかなりの部分は、一般的には、こうしたどこかの段階に到達するものである。こうした今の段階を越えるものは何であれ、賞賛に値するように見えるに違いない。たとえ絶対に完璧な段階から、取り出された状況だとしてでもある。それとは反対に、今の段階を越えようとしないものは、非難されるだろう。(1.1.48)

さりはま の紹介

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: 道徳感情論第1部第1篇 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.