アダム・スミス 道徳感情論 1.Ⅱ.12 慣れた苦しみには共感できないが、目新しい苦しみには共感する

外科手術の様子を見た人の中には気を失う人もいれば、具合が悪くなる人もいる。肉を引き裂くことで生じる肉体的な苦痛は、過度の共感を引き起こすように見える。まざまざと強烈に思いうかぶ苦痛とは、外的な理由から生じる苦痛である。内部の乱れから生じる苦痛を思いうかべることは、それほどない。隣人が痛風や結石にひどく苦しんでいるとき、その苦痛を思いうかべることはほぼ不可能である。だが切開手術をうけたり、傷ついたり、欠損したりしいての苦しみを、はっきり思い描くことは可能である。こうしたことが強く影響してくるのは、それぞれの出来事が目新しいせいである。解剖に数多く立ち合い、切断手術にしばしば立ち会ってきた者は、その後いつまでも、こうした類の手術を見ても動じることなく、見事なまでに何も感じることがない。幾多の悲劇を目にしたり、読んだりしてきたが、そうした悲劇がおこす感情への感受性が鈍ることは滅多にない。(1..12)

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