アルフレッド・マーシャル 経済学原理 1.Ⅲ.18

更にもう一つ、正さなくてはいけない誤解がある。その誤解は、こうした経済の結果のみを正常だとする考えから生じるものである。だが、その結果とは、自由競争が妨げられることなく行われるせいで生じるのである。しかし、自由競争という用語がしばしば用いられる状況とは、完全な自由競争が存在しない状況であり、また存在するとも思えない状況なのである。一方で自由競争が優勢なところでは、あらゆる事実や傾向など通常の状況に、活気ある要素が含まれる。だが、その要素とは競争の一部でもなければ、競争と同じものでもない。このようにして例えば、小売りと大量販売における処理業務や、あるいは在庫品と綿花の交換業務における処理業務などの通常の手続きは、口頭で契約した仮定にもとづくものであり、証拠なしにかわされるものであるが、それでも立派に成し遂げられるものだろう。この口頭での契約するという仮定が正常に機能しない国では、ふつうの価値というものについての西欧の見解があてはまらない。再度くりかえすと、さまざまな株式取引を保護する相場というものは、通常、愛国心に影響される。だが、ふつうの購買者の愛国心だけではなく、仲介業者の愛国心にも影響されるのである。(1.Ⅲ.18)

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