アダム・スミス 道徳感情論 1.Ⅱ24 ⑤

心の本来の特質も同様である。古代のストア派の考えでは、賢く力があって善良なる神のもとで、世界はすべて統治されている。だから、すべての出来事は宇宙をかたちづくる必要な計画の一部分であり、全体の秩序や社会全体の幸せを推進する傾向があるものとしてみなされている。そこでは、人類の悪徳も愚かさも、宇宙をかたちづくる計画において必要なものである。同じようにして知恵も徳も、また必要なものなのである。このようにして悪から善をひきだす永遠の芸術とは、自然の偉大なはたらきを完璧なものにするし、また同じようにして繁栄したものにもする傾向がある。しかしながら、こうした類の思索がどれほど深く心に根ざしていようとも、悪徳にたいして自然にいだく嫌悪を減らすことはできない。悪徳の目に見える効果とは破壊的なものである。そして間接的な悪徳の効果もはっきりしているから、想像力で追いかけることができるものである。

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