サキ 「耐えがたきバシントン」 7回

運命は、ヘンリーを兄として与えてくれるという素晴らしい助けをだしてくれたが、その助けにあらがい、フランチェスカは、コミュを息子にするという悪意にみちた、わずらわしい運命を切り開いたのかもしれなかった。その少年は無秩序に生きる、扱いにくい若者のひとりであり、幼稚園、進学準備校、パブリックスクールをとおして遊び戯れたり、いらだったりする有様は、嵐や砂塵、混乱が最大限に割り当てられたようであり、骨の折れる勉強はまったくする気配はなく、涙を流したりする者やカッサンドラの予言に関する者すべてが弱まるような混乱のなかでも、ともかく笑い声をあげる若者である。時にはそうした若者も、年をとれば落ち着いて退屈なひとになり、自分が大騒ぎしていたことを忘れてしまうこともあるかもしれない。時には、そうした若者に素晴らしい運がむき、広い視野で素晴らしいことを行い、国会や新聞から感謝され、お祭り騒ぎの群衆に迎えられることもあるかもしれない。だが、ほとんどの場合、そうした若者の悲劇が始まるのは、学校を卒業して世の中に放り出されたとき、その世の中が文明化されていて、人がたくさんいて、自分の場所を見つけようにもどこにもないときである。そうした若者は実に多い。

 

 ヘンリー・グリーチは小さなサンドイッチを食べるのをやめ、勢いを取り戻した砂塵嵐のように議論をはじめ、その当時流行していた話題のひとつである極貧の防止を論じた。

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