サキ「耐えがたきバシントン」 Ⅴ章 44回

彼女の恋愛はほぼ途切れることのないものであったが、まとらなまいまま過ぎていき、日々の熱情に苦しんだ。彼女は愛情にみちた関心を数人の若者にむけ、そうした若者を恋して、心に思い描く有様は、あっけらかんとしていた。若者数名の存在を隠そうともしなければ、互いを競わせるようなこともしなかった。だが、夫を漁る狩猟家だとは言えなかった。それというのも彼女はどのような男と結婚するつもりなのか心に決めていたからだが、その予測は地元の知り合いが考えているものとはかなり異なっていた。やがて結婚生活が失敗だということが判明することになるとしても、少なくとも節度を保ちながら、彼女は結婚に期待していた。だから恋愛は結婚と異なる基礎にあるのだが、それでも明らかに人生において彼女を夢中にさせる要素がった。幸せに組み合わされた彼女の性格には、男だろうと女だろうと、二つの職務を可能にするものがあり、又その性格は一つの籠に卵をたくさん詰め込みすぎないように予防する措置でもあった。彼女の要求は正確なものではなかったが、若くて、ハンサムで、少なくとも適度に面白い男性であることが必要だった。相手が変わることなく忠実であることも好んだが、自分が体験してきた例から、かなりの確率で、そうした種類の男ではないだろうという心積りをしていた。

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