モリー・マククェードは鋭く見つめたが、相手は目の前に駆けまわる雉を見つめていた。
「お金もないひとに夢中になっているなんて、そんな虚しいことは言わないでね」彼女は言った。「そんなことには耐えられないわ」
しばらくのあいだ、彼女はコートニーのわがままが思いがけない展開を生じ、そのせいで現在について空想する方へと野心が流されたのではないかと危惧した。もしかしたら議会での出世を犠牲にしてまで、束の間の魅力的な相手にゆったりと、愚かしい時を過ごすのだろうか。彼は機敏にその懸念をはらいのけた。
「その女性には山ほどの資産がある」
モリーは安堵の吐息をもらした。コートニーへの愛情から、最初の問いかけが生じるような不安が生じたのだ。次に、自然に嫉妬にかられた。
「若くて、可愛らしい感じの方なのかしら。それとも物腰のいい、目のきれいな方なのかしら。ふつう、お金がたくさんあれば、そうなるものだから」
「若くて、見た目もいいし、他の女性とは違うものがある。美人だという人もいるかもしれない。政治的なもてなしをする女主としては、すばらしい女性だと思う。どちらかと言えば恋しているのだと思う」
「では彼女も、あなたに恋しているのかしら」
ヨールは少し断定するかのように頭をそらしたが、その動作はモリーがよく知っていたものであり、好んでいたものだった。