サキ「耐えがたきバシントン」 Ⅴ章 49回

恋をしているのは確かなようね、コートニー」モリーはいった。「でも、それは考えたうえでの恋、けっしてうぶな恋ではないわね。すこしうれしい。ほんの少しのあいだでも、あなたが可愛らしい女の人に惚れているなんて嫌だもの。でも自分の気持ちは脇において、あなたには前進、勝つのよと言うことにするわ。お金のある女性と結婚することになった。相手は素敵な女性で、しかも申し分のない女主人になれる。誰にとっても結構な話だわ。私がおくることになる結婚生活よりも、ずっと幸せな結婚生活をおくるでしょうね。でも結婚をすれば、あなたのことだから、他のことに夢中になるでしょうけど。私は庭いじりをしたり、乳しぼりをしたりして、子供部屋には子供たちがいて、貸本屋さんで本を借りて読むのよ。周囲数百マイルの庭や乳搾り場や子供部屋と、ほとんど同じようなものでしょうけど。自分の妻が指の痛みを訴えたところで、あなたはその度に心配したりしないでしょうね。妻に会うのも、家で時々会っていればいいというひとだから。あなたがそれで幸せかどうかなんて心配しないけど。その女の人はおそらくみじめでしょうね。けれど、どんな女の人でも、あなたと結婚すれば、そうなるのね」

 

一瞬、間があいた。ふたりとも雉の檻をみつめた。ややしてモリーがふたたび口火をきったが、それは機敏で、神経質な将軍が急いで自分の部隊の配置を変え、退却しようとする戦略をとろうとする勢いだった。

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