サキ「耐えがたきバシントン」 Ⅷ章 85回

実に小さい世界だが、この農場の鶏の生活に目をむけてごらん。お屋敷の鶏は、元気のない卵を産む機械にすぎず、何オンスの餌を食べたのか、何ペニーの価値のある卵を産んだのか記録をつけられ、こうした農場の鶏のすばらしい生活については教えてくれない。そう、鳥たちの仲の悪さについても、嫉妬深さについても語ることはない。鳥は特権だけを注意深く維持して、絶大なる権力を惜しむことなく行使しては迫害したり、計算ずみの勇気をふるったり、せっせと臆病なところを隠したりと、まるでラインラントや中世イタリアの記録に書かれた人間についての章と同じようなものかもしれない。ところが口論の輪の外に目をむけると、容赦ない敵が森からあらわれ、国境で襲いかかってくる山賊のように、鷹が檻に入ってくるが、いつ銃で急襲されて、ずたずたになるかもしれないと知ったうえでの行動だ。さらにはオゴジョも、茶色の毛皮を数インチほど腹這いになるようにして動かしていき、熱心かつ露わなまでに血を求めて動いている。さらに赤狐は飢えをしのぐ達人で、生け垣の下で鶏が埃まみれになっているあいだ、自分に機会がめぐってくるのを待ちかまえて、午後の大半を過ごす。やがて鶏が夕餉にむかって中庭へと向きをかえたとき、その羽は最後の震えをおび、次の瞬間には死がその体を跳躍している。

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