サキ「耐えがたきバシントン」Ⅹ章104回

「その土地に根づくということは」ポルティモール師はいった。「芸術を救うものなのです。芸術に欠けるということは、信仰から転落しているということを証明するようなものですから。私と同じく牧師をしている者が熱心に説いてまわったことですが、宗派はともかくとしてキリスト教には、改心者を引き寄せてしまうような隠された危険があり、読むこともない旅行案内の批評でしか耳にしないような、あらゆる人種や種族からの改心者を引き寄せてしまうと言うのです。この世界に住んでいる人がまばらであれば、それもよいでしょう。しかし人がいっぱいいる今日でも、数百万もの改心者が精神的に低い発達状態にあり、特定の宗教の教えだけを受け入れているというのに、その事実に心をうたれる者が誰もいないのです。真実だと信じるようにして育てられてきたものが、ブリヤート族やらサモエード族、あるいはカナカ人に好意的であるということを耳にすれば、たしかに熱意も冷め、信念もゆらぐものです」

 ポルティモール師はかつてヴォルテールとのあいだに類似点を見いだしたことがあり、それからはヴォルテールに似るようにして生きていた。

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