サキ「耐えがたきバシントン」Ⅹ章105回

「現代においては、どのような異教徒も、あるいはどのような流行も」彼は語りつづけた。「統計的データに基づいた考察にもとづく、好ましい影響をうけているのではありません。帽子の型や外套の仕立てを採り入れるときに、拠り所になるのは好みなのです。それというのも、そうした品々はランカシャーとかミッドランドで広く織られているものだからです。また、あるブランドのシャンパンを好むという嗜好がありますが、それはそうしたシャンパンが、夏にドイツのリゾート地で広く好まれているからです。こうした誤った方向にむかっているのですから、この国で宗教がすたれるのも不思議ではありません。」

「もし望むのであれば、異教徒が改宗をしてくるのは防ぎようがないとおっしゃるのね」

「拒もうと思えば、そうすることも可能です」ポルティモール師がいった。「ベルギー人がコンゴで痛ましい出来事をおこしたように。でも、それよりも一歩進んだことをしていきましょう。この国で弱まりつつあるキリスト教への熱意を刺激するために、そうした熱意を抱ける者は少数の限られた特権階級だという位置づけをするのです。たとえばペルムの公爵夫人をこう断言させてごらんなさい。グレートブリテン島に関していえば、そこは彼女のものであり、その下で働くペルンビーの二人の園丁のものであり、はっきりとはしませんが、おそらくディーンの大聖堂主任司祭のものであると。そうすれば宗教にいだく信念も、宗教を守ろうとする思いも勢いのあるものとなり、即座に新しい形をとるでしょう。

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