サキの長編小説 「耐えがたきバシントン」 12章 129回

コーマスとエレーヌ・ド・フレイのあいだでは、関係が悪化したのだというフランチェスカの確信は、日がたつにつれて強いものになっていった。彼女は友達の家で昼食をたべたが、そこは重要な社交情報が手に入りそうな場所ではなかった。切望していた知らせのかわりに、彼女が耳を傾けることになったのは、とるに足らない噂話であり、一連の人々の恋について、その状況や騒動についての推測であったが、そうした人々の結婚予定に彼女がいだく関心は、セント・ジェームズ公園の野禽の卵を採取するのと同じ程度のものであった。

 

「もちろん」相手の女主人は記録者の特権的な口調で話したが、それは十分に、深く印象にのこるように強調をしていた。「家族のなかでも、クレールのことは結婚しそうだと常々考えていたものだから、エミリーがやってきて『私、お知らせしたいことがあるわ』と告げたときには、みんなして言ったのよ『クレールの婚約ね』って。そしたら『まあ、ちがうわよ』とエミリーが言うじゃない。『今回はクレールじゃないの、私のことよ』 そこで、その幸運な男は誰なのか推測することになったわ。『パーミンター大尉のわけがないわよね』私たちはいったわ。『だって彼はジョアンに優しいもの』 そしたらエミリーはいったのーーー」

 

記録係のような声の持ち主が、喉をごろごろ鳴らすようにして、心地よい自己満足をしめしながら操るのは、馬鹿げた指摘の一覧表であり、その話題をとりさげるという希望はまったく示されていなかった。

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