サキの長編小説 「耐えがたきバシントン」 13章 149回

「わたしが考えているのは、彼の曲のすばらしさについてとーーー」また別のムクドリのような声が、娘たちの列のはずれから聞こえてきた。嵐がくるまえに貪欲に草を食べる羊たちのように、ムクドリのような声がいっそうの努力にかりたてられて囀っているのは、静かにしなければいけない四幕の上演のあいまの幕間だという知識のせいであるようにおもえた。

 

二階の桟敷席のうしろのほうでは、遅れて入ってきた観客がプログラムにあわただしく視線をはしらせてから、心地よい語り口にはいっていった。その語りは、タクシー運転手の一人芝居のつづきであり、劇の流れがふたたび始まろうとしていた。

 

「パーミンター大佐のはずがないと皆がいったわ。大佐はジョアンに気があるもの。それにエミリーの話では」

幕があがり、話し合いにおけるエミリーの貢献は序幕がおわるまで持ち越されることになった。

 

“What I think is so splendid about his music—” commenced another starling-voice on the further side of the girl.  Like sheep that feed greedily before the coming of a storm the starling-voices seemed impelled to extra effort by the knowledge of four imminent intervals of acting during which they would be hushed into constrained silence.

In the back row of the dress circle a late-comer, after a cursory glance at the programme, had settled down into a comfortable narrative, which was evidently the resumed thread of an unfinished taxi-drive monologue.

“We all said ‘it can’t be Captain Parminter, because he’s always been sweet on Joan,’ and then Emily said—”

The curtain went up, and Emily’s contribution to the discussion had to be held over till the entr’acte.

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