NYTコラム「2012年度に卒業する学生たち」

The Class of 2012 – NYTimes.com.

The New York Times2012年6月4日

大学を卒業していく学生たちは、順調な未来へと大きな1歩をふみだすと思われている。しかし仕事を見つけることができた運のいい卒業生にしても、労働市場が弱体化しているせいで初任給の減額に直面する。一方、大多数の学生は仕事を見つけようとして苦労し、あるいは大学卒の資格を必要としない低レベルかつ低賃金の仕事につくことになる。

たとえ経済が回復しても、昨今の大卒の多くはスタートの遅れを取り戻すことはできない。調査によれば、スタート時点で仕事がなかったり賃金が低かったりすると、職業の見通しがたたず、生涯にわたって収入の不利益をこうむることになる。

昨今の大卒は高卒よりましな就職状況であるが、数字は厳しい。25歳以下の大卒の失業率は過去1年で平均で8.5パーセントであり、その前の年の9.5パーセントよりは改善されている。しかし2007年末の大恐慌以前の、5.4パーセントという数字よりはずっと高い。2007年から2011年にかけての大卒の賃金をインフレで調整すると、4.6パーセントの落ち込みであり、1年に約2000ドルの落ち込みである。

1年か2年間の苦境を立て直すにしても、大変なことである。経済のメルトダウンから数えると5年間もの苦境は、効果のある政策を考えるように、更なる試練を促している。

最大の誤解はーーーそれほど不況が深刻ではなかった時代の、数十年におよぶ成長のせいで生じた誤解だが、大学の学位が良い仕事をほぼ保証してくれるというものである。事実は違う。ガソリンが燃えるように経済が勢いよく広がらなかったため、仕事が不足する事態がやむなく生じた。それは大学教育をうけた学生も例外ではない。

もう一つの誤解は、今日仕事がないのは主として雇用のミスマッチの結果だとするものである。雇用主は技術のある労働者を見つけることができないし、労働者は仕事のある場所まで引っ越したくないし、引っ越すことも出来ないというミスマッチだ。この頃の大卒は技術もあり、働く場所を選ばないのだが、それでも、かなりの者が仕事を見つけられないでいる。弱体化した経済社会には需要がないということを、あらためて示すものである。

学校教育は、学生たちにありあわせの仕事につかせようとしている。大卒のうち仕事につけないでいる学生の数がかなり低いことから、それは証明される。過去1年間の平均失業率は高卒の21パーセントに比べ、大卒は平均8.5パーセントである。しかし、不本意なパートの仕事についている者や就職活動をあきらめた学生も含めると、大卒の不完全就業率は平均19.1パーセントになる。これは不況前のおよそ2倍である。

さらに大卒の完全雇用も落ち込んでいる。調査によれば、学士の資格を必要としてない仕事につく大卒は、不況が始まる2007年以前がおよそ30パーセントであるのに比べ、最近では40パーセントになってきている。

政府が需要と成長をうながすために更なる支援をしないかぎり、州に対する雇用創出支援、エネルギー事業やインフラ整備への投資などの手を打たなければ、大卒に限らずすべての者が苦戦することになるだろう。共和党の政治家は必要な政策を凍結して、予算の赤字削減が大事であり、規制解除や富裕層のための減税を行えば、事態はなんとか好転すると主張してきた。しかし好転しないまま現在に至り、今後も好転することはないだろう。

その傷は深く、消えることはない。大卒者が高賃金のよい仕事もなく、学生ローンをかかえるということは、成長が更に遅い経済社会が長く続くということだ。教育ローンという負債を抱えたパート労働者では、家族を持つのも遅くなり、家を買うことも遅くなるからだ。大学の卒業生たちは大恐慌の二次的な被害を受けただけではないのだ。彼らが受けた教育は困難を切り抜ける手段と柔軟さを、おおいに与えてくれることだろう。とは言え、アメリカで学士をもつ若者がうまくやれないのであれば、誰がうまくやれるというのだろうか。 (Lady DADA訳・BlackRiverチェック)

 

 

 

 

 

 

 

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