アーサー・モリスン倫敦貧民窟物語「ジェイゴウの子ども」18章128回

仕事が楽しくて仕方ないという熱のあげようは一日か二日で冷めたが、仕事への誇りはそのまますべて残った。ダヴ・レーンとの戦いがふたたび盛んになってきたが、ディッキーは巻きこまれることなく、離れたところから見つめるだけだった。白日夢で、ディッキーが思い描く己の将来は商人であり、自分の店をもち、そのドアには金の飾り書きで「R.ペロー」と書かれていた。そのときには、彼も使い走りの少年を雇い、応接間のある家に住んで、応接間にはクッションをしいた椅子があって、飾られた花が影をおとし、成長したエムがピアノを弾いているのだ。たしかにスタート神父は正しかった。盗みとかは愚か者のすることだ。まじめに商売した方がいい。

 猫背のボビー・ルーパーも、一度、店の前を通り過ぎた。ディッキーは、自分にあらたにそなわった威厳を気にするだけで、敵は放っておいた。そのようなわけで、この一年以上の年月で初めて、ののしることもなければ、なじることもしないで、ボビーの通行を許すことにした。他の者たちも、ディッキーの新しい仕事に呆気にとられ、行ったり来たりしながら、距離をおいた安全な場所に身をひそめ、ディッキーを見つめ、店を見つめた。ディッキーにすれば、これ見よがしの警戒をしてみせるだけで、注意をむけることはなかった。そこで猫背の少年は、敵意をこめて嘲りわらいながら舌をだしてみたが、最後には背をむけて走り去った。

 

His enthusiasm for work as an amusement cooled in a day or two, but all his pride in it remained. The fight with Dove Lane waxed amain, but Dicky would not be tempted into more than a distant interest in it. In his day-dreams he saw himself a tradesman, with a shop of his own and the name ‘R. Perrott,’ with a gold flourish, over the door. He would employ a boy himself then; and there would be a parlour, with stuff-bottomed chairs and a shade of flowers, and Em grown up and playing on the piano. Truly Father Sturt was right: the hooks were fools, and the straight game was the better.

Bobby Roper, the hunchback, went past the shop once, and saw him. Dicky, minding his new dignity, ignored his enemy, and for the first time for a year and more, allowed him to pass without either taunt or blow. The other, astonished at Dicky’s new occupation, came back and back again, staring, from a safe distance, at Dicky and the shop. Dicky, on his part, took no more notice than to assume an ostentatious vigilance: so that the hunchback, baring his teeth in a snigger of malice, at last turned on his heel and rolled off.

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