「屈辱的な就職市場とむきあう近頃の学士たち」NYT

Outlook Is Bleak Even for Recent College Graduates – NYTimes.com.

The New York Times 2011年5月18日

それぞれの話はなじみ深いものである。バーで客の相手をする化学専攻の学士。電話の応答をする古典専攻の学士。ウォールマートの通路を箒ではくイタリア語専攻の学士。

似つかわしくない職業についたり、就職を延期することだけが、腐敗しはじめた経済のせいで被る損害ではないということが、今、明らかになりつつある。不況という石のつぶてや弓矢から一番守られている大学卒にとっても、殺伐とした様相になりつつある。

最近の大卒の雇用も過去2年間で急激に落ち込んでいるし、仕事を見つけることができた大卒の初任給も同様に落ち込みを見せている。さらに、大学卒の資格を必要としている仕事の半分にしても、結局、高等教育が「その仕事の内容に見合う」ものかどうかは議論を提起するところである。

「同じように学士号をもっている友達も何人かいるが、ずっと低レベルの学校卒さ。でも、知り合いに偉い人がいたり、いつ卒業したかで、こっちよりずっといい仕事についている」とキール・ビショップはいう。ピッバーグ大学を2009年に卒業した23歳の若者だが、この2年間はウェイターをしたり、ビールを運んだり、本屋で働いたり、データ入力をしたりしている。「何よりも運次第なのさ」

ルツガー大学雇用訓練局のために、ジョン・J・ヘルドリッヒ・センターが水曜日に発表した調査結果によれば、2009年と2010年に4年制大学を卒業した学生の平均給料は2700ドルであり、2006年から2009年にかけて労働市場に入った学生たちの3000ドルを下回る。インフレを考慮にいれる以前に、すでにこれは10パーセントも減少している。

もちろん、これは運のよい者たちの話である。すなわち仕事を見つけた卒業生である。2010年度卒業の学生たちは、調査によれば、就職したのはわずか56パーセントである。2006年と2007年は、90パーセントの学生が就職した。(さらに教育を受けることにした学生もいれば、労働力となることから逃げた学生もいる一方で、多くはまだ通りをぶらぶらしている状態である。)

大学卒の労働者のキャリアがこうむったダメージについて、こうした数字はまだ控えめに表現している。多くの学士たちは自分たちの能力が活かされない仕事についている。最近大学を卒業した者のうち、最初の仕事が学士を必要としていたと答えた者は半分にとどまる。

大学で何を専門とするかという選択が、きわめて重要である。ある専門は、大学卒の資格を必要とする仕事を見つける幸運に恵まれている、ノースイースタン大学のエコノミスト、アンドリュー・M・サムは、2009年労働局の25歳以下の大卒データで分析する。

教育や教職、工学を専攻した卒業生は学士を必要とされる仕事を見つけやすい。一方で、ラテン・アメリカ研究など地域研究の専門や人文研究のような専門では、そうした幸運には巡り合うことはないだろう。教育学を専門した学士のうち71.1パーセントが、学士を必要とされる仕事についている。しかし地域研究の専門では、学士を必要とする仕事につく者の割合は、44.7パーセントにとどまる。

25歳から34歳の大学卒についての労働局のデータをニューヨークタイムズが分析したところによれば、データのサンプルは小さいが、レストランやバーなどの飲食サービスに従事している労働者の数は、2008年から2009年にかけて17パーセント上昇している。ガソリンスタンドやガス販売、食料品やアルコール販売、タクシーやリムジンの運転などで働く大学卒の数も、飲食サービスと同様に、あるいはそれよりも大きく増えている。

これでは学士号がむだになるかもしれないが、普通ならこうした仕事につく筈の、高い教育をうけていない労働者から仕事を締め出す事態が生じてきている。

「学校教育をうける期間が短ければ短いほど、労働市場全体から放り出される可能性が高くなる」とサム氏は言い、高卒とドロップアウト組の失業率は大卒よりも常にずっと高いと指摘する。「大卒によって完璧に仕事から締め出されている」

一方で、大学卒は学生ローンの負債の支払いという問題をかかえている。2006年から2010年卒の学生で、平均20000ドルになる。

ピッバーグ大学の卒業生ビショップは、最初の仕事が生涯をとおしてキャリアにつきまとうかもしれないと「恐れている」と言う。「履歴書にこんな短期の仕事ばかりだと印象が悪くなるけど。でも支払いをしないといけないし」それから彼の学生ローンは今のところ70000ドルを超えていると付け加えた。

多くの卒業生がさらに学生ローンを借りることになるだろう。過去5年間に卒業した学生のうち60パーセントのものたちは、成功するにはもっと教育をうける必要があるという。

「博士号をとらないと、仕事はそれほどないだろうとわかっていた」とトラヴィス・パターソン、23歳、カリフォルニア大学フラートン校の卒業生は話した。彼は不動産管理会社で管理のアシスタントとして働きながら、大学院で心理学を学んでいる。仕事は学位とは関係はないけれど、「おかげで部屋代と授業料を支払うことができる。それが大事なんだ。」

経済がよくなると、学校へ戻っていたら労働力に参入する可能性にあずかる。また失業率は、学歴が高い人々ほど一般的に低くなる。

学校へ戻らない者は、数年間低賃金の曲線上にあるかもしれない。そうした者は低い給料で始めることになる。さらにその下で職業人生を歩んでいくことになる雇用主にしたところで給料の支払いが平均より下回り、今後も成長していきそうな余地を持ち合わせていない。

「彼らの給料の歴史は、どこに行こうともついてまわる。」ルツガー大学の労働エコノミスト、カール・ヴァン・ホルンは言う。「肩の上のオウムのようなもので、どこにでも一緒について来て常にしゃべる。「いや、そんなに稼げるわけがない」と。

厳しい就職市場にさらされた若者は、職業人生を危険にさらすことにためらうかもしれない。でも、不運な卒業の日付を無効にしてしまう最高の方法とは、可能なときに仕事を変えることだと、コロンビアのエコノミスト、ティル・ヴォン・ウォッチャーはいう。

「卒業して5年以内に動かなければ、何らかの理由ができて今の場所にしばりつけられることになる。これはまさに経験からくる発見である。」ヴォン・ウォッチャーはいう。「20代後半までには結婚しているだろうし、家族もいて、家もあるだろう。仕事を変えるという勢いがとまってしまう。」 (Lady DADA訳・BlackRiverチェック)

Lady DADAのつぶやき・・・日本も同じような状況になりつつあるのかもしれないが、大卒が高卒の仕事をすることへの不満はあまり聞かない気がする。勤勉・温厚云々ではなく、日本人は、労働以外で自分をあらわす術を知っている成熟した民族なのかもという気もする。

 

 

 

 

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