アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」1章23回

これは一家共通の見解なのだが、アイザックおじさんは細々とした資産に執着していた。何があろうとも、資産について詳細に語ろうとはしなかったし、その資産がどういう類のものかに関して、その都度、語る言葉はちがった。それでも、どのような資産であれ、アイザックおじさんにすれば大きな差をつけるものであり、考慮するに値するものであった。さらに資産には不可思議なところがあるせいで、その差について思いをめぐらす者にも、時おり遺言をかえることを仄めかすことで、アイザックおじさんは揺さぶりをかけるのであった。

「そうですが」ミスター・バトソンは椅子から立ち上がりながら、口をひらいた。「私には、あまり教育は役に立たなかったようです」

「そんなことありません。運が悪いのですよ」アイザックおじさんがいった。

「それに私なら資産があるほうがいいですが」ミスター・バトソンは扉にむかっていった。アイザックおじさんも、そのあとを追いかけた。

 そのとき、外にひろがる暗闇のほうから、にぎやかな女の声がひびいてきた。「おやまあ、聖なるツグミにぶつかるところだった」その声はいうと、けたたましく笑い声をあげた。「あのひとたちに戻ってきてもらうように言わないといけない」

 

It was generally agreed in the family that Uncle Isaac was very “close” as to this small property of his. Nothing could induce him to speak of it with any particularity of detail, and opinions varied as to its character. Still, whatever it was, it sufficed to gain Uncle Isaac much deference and consideration—the more, probably, because of its mysterious character; a deference and a consideration which Uncle Isaac could stimulate from time to time by cloudy allusions to altering his will.

“Well,” observed Mr. Butson rising from his chair, “education never done me much good.”

“No, unforchnately!” commented Uncle Isaac.

“An’ I’d prefer property meself.” Mr. Butson made toward the door, and Uncle Isaac prepared to follow.

At this moment a harsh female voice suddenly screamed from the darkness without. “Lor’! I almost fell over a blessed ‘ousel,” it said, and there was a shrill laugh. “We’ll ask ‘em the way back.”

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