アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」9章92回

この貸し借りの大半は同時に利用したり、平行して利用したりと、相互に混ざり合っていた。このように入りくんでいたのは、ビル、ジョージ、ジム、ジョーのあいだでは、借りたほうも、貸したほうも、量が異なり、貸し借りの仕方も異なっていたからだ。この信じがたい話は、並外れて面白い数学の罠となった。いわば小さいながら金融市場の体をなしているのだが、参加する者が倍になったせいで混乱をきわめていた。そこで儲ける者は少なく、ほとんどの者が収支を合わせることはできなかった。さらに合計した数字が塗料の富の山の方に傾いているのか、本当は破産をしめしているのかわかっている者はほとんどいなかった。胸おどる結果が元手のおかげで達成されたが、そこでひどい傷をおわない者は皆無だった。

 

With many such arrangements synchronising, crossing and mixing with each other, and made intricate by differing degrees and manners of debit and credit between Bill and George and Jim and Joe, the unlikely subject of Paint became involved in a mathematical web of exceeding interest, a small image of the Money Market, a sort of chaos by double entry wherein few operators were able to strike a balance at a moment, and most were vaguely uncertain whether their accounts inclined toward an affluence of Paint or toward sheer bankruptcy. An exciting result attained without the aid of capital, and with no serious hurt to anybody.

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