アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」9章96回

だがハーバー・レーンとその周辺が、ジョニーにすれば、もっとも興味深く面白い地域であった。ステアズや古い家々、アーティチョーク・ターヴァンのむこうはドックの入り口となっていて、そこには驚くような橋がかかっていたが、それは真ん中のところで半分に折れるつくりで、双方の岸壁へと橋をひきあげて船を通すのだ。男たちは巻き上げ機をつかって、やすやすとその作業をした。そうした有様を一時間ほど、ジョニーは観察することもできた。だが、そこに彼は知っている顔を見つけた。橋のたもとにある岸壁の下のほうで、ロープを係留する双係柱のうえに腰かけているのは、バトソンさんであった。少しみすぼらしくなり、経済的にも衰えたような様子だとジョニーは考えたが、それでも相変わらず酷使されて不機嫌であった。ジョニーが見ていると、バトソンさんはポケットからパイプと一包みの紙をとりだした。その紙には何もなかった。バトソンさんは上着のポケットを両方ともあさったが、からの手のひらをにらんで終わった。やがて陰気くさくパイプを調べると、彼はパイプをおしやり、みすぼらしい様子で瞑想にもどった。そしてジョニーは家に戻った。

 

But Harbour Lane and thereabout were the most interesting parts, and the pleasantest for Johnny. Just beyond the Stairs, and the old houses, and the Artichoke Tavern, was a dock-inlet, with an extraordinary bridge that halved in the middle, and swung back to each of two quays, to let ships through. Men worked it quite easily, with a winch, and Johnny could have watched for an hour. But just here he caught sight of an acquaintance. For down on the quay below the bridge-end, sitting on a mooring-post, was Mr. Butson. A trifle seedy and fallen in condition, Johnny fancied, and grumly ill-used as ever. As Johnny looked, Mr. Butson took a pipe from his pocket, and a screw of paper. The paper yielded nothing. Mr. Butson raked through both jacket-pockets, and scowled at his empty hands. In the end, after a gloomy inspection of the pipe, he put it away and returned to savage meditation. And Johnny went home.

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