アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」12章124回

彼はふたたび力強く階段を登りはじめ、肩ごしにジョニーをふりかえると、自分より先に行かせた。作業場の連中はこっそり、にやにや笑いをうかべていた。やがて、或る見習いが訊いてきた。「見つかったのか?」それは用心深く、おさえた声だった。だが、ちょうど其のとき、朝食を告げる鐘が鳴った。

 大半の男と幾人かの少年は急いで門にむかった。この近くに住んでいるか、コーヒー店で朝食をとる者たちだった。彼らの半時間の休憩が始まったところだが、すぐに終わってしまうのだ。ほかの者たちはそれほど急ぐことなく、その場に残って、自分たちの缶やらハンカチの包みやらを手にした。幾人かは、自分たちの両手を木綿の端切れでぬぐった。その奇妙に絡みついた端切れを見ていると、ジョニーは自分の父を思い出した。彼がどうしたかと言えば、しばらく待ち、残された者たちがするように行動した。友達の、長身の男が、コーヒー店にいく連中と一緒に外に出るのを見ていたからだ。少年たちは、自分たちの缶をとって、スミスの店へとがたがた歩いていき、ジョニーはその後ろをついていった。安全な距離から眺め、判断したいと考えたからだ。長身の男の警告に、どのような「ゲーム」が展開されるのかと思案し、すぐにそのゲームが始まってもいいように備えた。だが運命の気まぐれのおかげで、その朝、彼は罠から守られることになった。

 

He resumed his heavy progress up the stairs, turning Johnny round by the shoulder, and sending him in front. There were furtive grins in the shop, and one lad asked “Got it?” in a voice cautiously subdued. But just then the bell rang for breakfast.

Most of the men and several of the boys made their best pace for the gate. These either lived near, or got their breakfasts at coffee-shops, and their half-hour began and ended in haste. The few others, more leisurely, stayed to gather their cans and handkerchiefs—some to wipe their hands on cotton waste, that curious tangled stuff by which alone Johnny remembered his father. As for him, he waited to do what the rest did, for he saw that his friend, the long man, had gone out with the patrons of coffee-shops. The boys took their cans and clattered down to the smiths’ shop, Johnny well in the rear, for he was desirous of judging from a safe distance, what form the “little game” might take, that the long man had warned him of, in case it came soon. But a wayward fate preserved him from booby-traps that morning.

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