アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」16章159回

点灯夫が慌ただしく通り過ぎ、濃くなりゆく闇のほうへと消え、その灯した光の跡が、水門の壁にそって点々と連なった。二人の男達が歩いく通りには、暖炉の炎に照らされた小さな居間の窓が浮かび上がり、その通りを歩きながら、バトスンさんはこれからの食事を約束されたので、意気揚々としていた。そうこうしているうちにナン・メイの店のなかに立っていたのだが、もう、そこには空の箱はなく、所狭しと並べられているものはベーコン、チーズ、蝋燭、ソーセージ、調理した豚肉、スパイスのきいた牛肉、山盛りの卵で、そのあいだに様々な人々がひしめいていたが、そこに影をおとしているのは、老いぼれた気取り屋が歩く姿で、むっつりと威張っている、妙な影の主とは、最近、みすぼらしくなってしまったバトスンさんであった。

 アイザックおじさんは、自信ありそうな態度でふるまっていた。それというのも、自信とは費用のかからない装飾だという考えに、彼の心は支配されていたからだ。「こんばんは、ナン。お前には断りもなくだが、(おまえなら嬉しいと言ってくれるから)紅茶に友達を呼んできた。この人に会えば、幸せだった頃のことを思い出すはずだ。バトスンさんが、会いにきてくれた」

 

The lamplighter scuffled past into the thickening dusk, leaving his sparse trail of light-spots along the dock wall. The two men came through streets where little sitting-rooms, lighted as yet by fires alone, cheered Butson with promise of the meal to come; and when at last he stood in Nan May’s shop, now no place of empty boxes, but ranged close with bacon, cheese, candles, sausages, brawn, spiced beef, many eggs and a multitude of sundries, there was some shadow of the old strut and sulky swagger, hanging oddly about the broken-up Butson of these later days.

Uncle Isaac did it with an air, for an air was an inexpensive embellishment that won him consideration. “Good-evenin’, Nan. I’ve took the liberty (which I’m sure you’ll call it a pleasure) to introduce a of friend to tea which we well remember with ‘appier circumstances. Mr. Butson is come to see you.”

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