アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」 20章181回

さらに、その男は彼の父親でもあった。義理の父親になるわけだ。それでも、この家の最高権威者として、しかるべき敬意があたえられ、従順にしたがわなければいけない存在となった。これは耐えがたいことのように思えた。つかの間、ジョニーの頭をよぎったのは、この家を出て行き、自分でやりくりするという考えだった。船で外国に行けばいい。外国でも、どこでもいい。だが、そうすればベスをひとり残していくことになるだろう。それに母親のこともある。母親も、まだ彼を必要としていた。

彼がロング・ヒックスに打ち明けたのは、仕事にむかって歩いているときのことで、運河をこえ、橋をわたっていく途中、明るい朝のことであり、まだ早い時間で、周囲は静かであった。彼が驚いたことに、ヒックスは無言ながらも、その知らせに関心をみせた。長身の男は怒りのせいで顔を紅潮させ、どもりながら何か言いかけ、堰を切ったように言葉があふれるかとみえた。だが、そこまでであった。彼は何の意見も、感想ものべはしなかった。彼はまもなく怒りをしずめ、ジョニーもそのうち怒りを忘れ去った。

ベッシーのほうは、絶望の様子は静かではあったが、話すこともできないでいた。母親との関係はとても親しいものだったので、この変化はきわめて不幸なことであった。バトスンのことも、その品のない様子も、彼女は心から嫌悪していた。

 

More, the man was his father—his stepfather; chief authority in the house, with respect and obedience due to him. That seemed intolerable. For a moment Johnny had mad notions of leaving home altogether, and shifting for himself—going aboard ship, abroad, anywhere. But that would be to leave Bess alone—and his mother; his mother might need him yet.

He told Long Hicks, as they tramped to work over the locks and bridges in the bright morning, early and still; and it surprised him to see Hicks’s tacit concern at the news. The long man reddened and stuttered, and checked himself suddenly at an imminent outburst of speech. But that was all; he offered no opinion and made no remark; and as he was given to suppressed excitement on small occasion, Johnny presently forgot it.

As for Bessy, her distress, quiet as it was, was beyond telling. Her association with her mother had been so intimate that this change was stark bereavement; and for Butson and his coarse pretence her feeling was sheer repulsion.

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