アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」28章241回

 軍曹の目は、心得たというように輝いた。「わかった」彼は言った。「お前のほうが二ストーンほど軽いだろう。お前が十一ポンド以上あるとしての話だが。グローブをとってくれ」

 これがほかのときなら、ジョニーも、陸軍隊での勝者である軍曹に、練習試合を申し込むなんて、厚かましい願いを考えもしなかったことだろう。軽い練習試合でも、軍曹相手のものであれば、申し込まれてから引き受ける類のものであった。その試合では、両手ともふさがってしまいがちで、むしろ、それ以上に厳しい試合になることもあった。だが、ジョニーにはそうしなければいけない理由があった。

 彼は、先生役の軍曹を相手にストレートを打った。すると、すぐに強打が窓枠にうちつける雹のようにとんできた。軍曹は岩のように立っていた。ジョニーが突っ込んでいくたびに、頭にハンマーの一撃をくらったように押し返された。だが彼はふたたび熱心に突っ込んでいき、軍曹の頭のまわりを陽気に動きまわり、相当な数のドライブをかけた。普通の男ならノックダウンされてしまうようなものだったが、軍曹が終わりにするように目配せをすることはなかった。未熟練工はノックアウトしてしまうという考えでやり直し、たくさんのパンチをくりだして、キーキー音をあげる人形のようにノックした。

 

There was a comprehending twinkle about the sergeant’s eyes. “Right,” he said; “you’re givin’ me near two stone—that’s if you’re a bit over eleven. Fetch the gloves.”

At another time Johnny would never have conceived the impudence of asking the sergeant—once champion of the army—for a free spar. Even a “light” spar with the sergeant was something of an undertaking, wherein one was apt to have both hands full, and a bit over. But the lad had his reasons now.

He dashed at the professor with a straight lead, and soon the blows were going like hail on a window-pane. The sergeant stood like a rock, and Johnny’s every rush was beaten back as by hammer-blows on the head. But he came again fresh and eager, and buzzed his master merrily about the head, getting in a very respectable number of straight drives, such as would knock an ordinary man down, though the sergeant never winked; and bringing off one on the “mark” that did knock out a grunt, much as a punch in that region will knock one out of a squeaking doll.


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