チェスタトン「マンアライヴ」一部一章第24回

風がうなり声をあげながら吹きつけ、やがて金切り声へとかわると、彼は強く、素晴らしい両脚をけりあげて空に跳びだし、消えようとしている帽子につかみかかった。だが、つかみそこねてしまった。すると手足をほうるようにして、芝生に顔を真っ先になげだした。帽子は、勝利した鳥のように舞い上がった。だが、その勝利は早すぎるものだった。この変わった男は、両手を下にして身を投げ出し、長靴も脱ぎ捨てると、二本の足を宙でふりまわし始めたからで、その様子はマン島の象徴である旗のようであった-そこで、人々はあの電報のことをもう一度考えた-そして実際、彼は帽子を足でつかまえたのだ。風のうめき声が長々と、突き刺すように吹きすさぶと、空を端から端まで引き裂いた。そこにいるすべての男達の目が、目には見えない風のせいで盲となり、これまでに見たこともないような、透きとおった大雨が激しい雨音をたてながら男たちに降りそそぎ、彼らのまわりにある万物にも降りそそいだ。だが、その大男が座った姿勢のまま倒れ、まじめくさった様子で自らに帽子を被せたとき、マイケル・ムーンは気がついた。信じがたい驚きにかられながら、息を殺している自分の姿が、まるで決闘を見つめているようだということに。 

 

As the wind rose out of a roar into a shriek, he leapt into the sky on his strong, fantastic legs, snatched at the vanishing hat, missed it, and pitched sprawling face foremost on the grass. The hat rose over him like a bird in triumph. But its triumph was premature; for the lunatic, flung forward on his hands, threw up his boots behind, waved his two legs in the air like symbolic ensigns (so that they actually thought again of the telegram), and actually caught the hat with his feet. A prolonged and piercing yell of wind split the welkin from end to end. The eyes of all the men were blinded by the invisible blast, as by a strange, clear cataract of transparency rushing between them and all objects about them. But as the large man fell back in a sitting posture and solemnly crowned himself with the hat, Michael found, to his incredulous surprise, that he had been holding his breath, like a man watching a duel.

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