チェスタトン「マンアライヴ」一部二章第57回

「あの男は退屈なんかしてない」マイケルは、断固として言った。「僕が言いたいのは、あのスミスとか言う男だ。彼の狂気のなかにも、なんらかの理論があると思う。彼は周囲を不思議の国に変えることができるようだが、そうするのも平凡な道から一歩踏み出すだけだ。あの跳ね上げ戸のことを思いついた者がいるだろうか。このクラレットはなんとも不味い味がする植民地の代物なのに、煙突の通風管のあいだで飲むだけで、こんなに美味しくなると考えた者がいるだろうか。おそらく、こうしたことが妖精の国にはいる真実の鍵なんだ。おそらく、おせっかいなゴールドも、嫌な味の、小さなエンパイアー・シガレットを吸うときは、竹馬とか、そういう場所にするべきだ。おそらく、デューク夫人の、冷たい羊の脚の料理にしても、木のてっぺんで食べるなら美味しいのだろう。おそらく、僕のオールド・ビルのウィスキーはなんとも不味くて汚らしいし、しとしと降りつづける霧雨のような味がするけれど…」

 

“That fellow doesn’t,” said Michael decisively; “I mean that fellow Smith. I have a fancy there’s some method in his madness. It looks as if he could turn into a sort of wonderland any minute by taking one step out of the plain road. Who would have thought of that trapdoor? Who would have thought that this cursed colonial claret could taste quite nice among the chimney-pots? Perhaps that is the real key of fairyland. Perhaps Nosey Gould’s beastly little Empire Cigarettes ought only to be smoked on stilts, or something of that sort. Perhaps Mrs. Duke’s cold leg of mutton would seem quite appetizing at the top of a tree. Perhaps even my damned, dirty, monotonous drizzle of Old Bill Whisky—”

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