チェスタトン「マンライヴ」一部三章第76回

「『スイスのロビンソン』のことを悪く言うんじゃない」イノセントは激昂し、大声で叫んだ。「あの物語は、自然科学としては正確なものだとは言えないかもしれない。だが哲学としては的確だし、正確なものだ。ほんとうに難破したのなら、欲しいものがほんとうに見つかるかもしれない。ほんとうに孤島にいるときは、そこが孤島だとは決して思わない。もしこの庭でほんとうに攻撃されるようなことがあるのなら、まだ知らない英国の鳥が百羽も、英国の果実が百個も、ここにあるんだということに気がつく。雪のせいで、この部屋に閉じこめられたのなら、書架にまだ読んだことない本がたくさんあることに気がつき、それを読むことになるだろう。それから私たちは互いに話もするだろう。いい話もすれば、ひどい話もして、そうこうして気がつかないうちに墓に入っているのかもしれない。あらゆることが話のネタとなる。洗礼式も、結婚式も、葬儀も、戴冠式までもがネタになるだろう。もし共和国になろうと決心しなければの話だが。

 

“Don’t you say a word against the `Swiss Family Robinson,'” cried Innocent with great warmth. “It mayn’t be exact science, but it’s dead accurate philosophy. When you’re really shipwrecked, you do really find what you want. When you’re really on a desert island, you never find it a desert. If we were really besieged in this garden, we’d find a hundred English birds and English berries that we never knew were here. If we were snowed up in this room, we’d be the better for reading scores of books in that bookcase that we don’t even know are there; we’d have talks with each other, good, terrible talks, that we shall go to the grave without guessing; we’d find materials for everything— christening, marriage, or funeral; yes, even for a coronation— if we didn’t decide to be a republic.”

さりはま の紹介

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チェスタトン「マンライヴ」一部三章第76回 への2件のフィードバック

  1. 通りすがりの者 のコメント:

    はじめまして。

    いくつか気になったところをコメントさせてもらいます。こちらが間違っている可能性もありますが、ご検討ください。

    ほんとうに難破したのなら、欲しいものがほんとうに見つかるかもしれない(When you’re really shipwrecked, you do really find what you want)⇒実際に難破して初めて、自分に本当に必要なものがわかるんだ(do really findであってmay findではない)

    まだ知らない英国の鳥が百羽も、英国の果実が百個も、ここにあるんだということに気がつく(we’d find a hundred English birds and English berries that we never knew were here)⇒ここにあるとは知らなかった百種ものイングランドの鳥やベリー類に気づくのだ

    そうこうして気がつかないうちに墓に入っているのかもしれない。(that we shall go to the grave without guessing)⇒そんな話があることも知らずに墓に入っていたかもしれない。

    あらゆることが話のネタとなる(we’d find materials for everything)⇒for everythingなので、あらゆることのための材料がみつけられる(どんなことでも(話を)でっちあげられる)では?

    • さりはま のコメント:

      丁寧にご教示くださり有難うございます。

      最初の二箇所は私の恥ずかしい誤訳です。

      without guessing と materials for everything は悩んだ箇所でしたので、ご教示くださいましたおかげで靄が晴れました。
      「どんなことでもでっちあげる」と解釈しますと、これからの話の流れに合うような気が致します。

      チェスタトンを訳すには力不足の身ですが、それでもイノセント・スミスの不思議な物語には心惹かれて訳しております。
      今後もお気づきのことがございましたら、ご教示いただけたらと思います。
      どうぞよろしくお願い致します。

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