チェスタトン「マンアライヴ」一部三章第88回

「そうね」娘はしっかりとした口調で言った。「目を覚ましている必要がどこにあるのかしら」

「そうしないといけない必要がどこかにあるにちがいない。僕たちがすることはすべて、何かの準備をしているんだよ。君がきれい好きなのも、僕が健康体なのも、ウォーナーが使っている科学装置も。僕たちはいつも何かを準備しているんだ。けっして現れることのない何かを。僕は家に空気をとおすし、君は家を掃いてくれる。でも、そうしたからと言って、この家に何が起きるっていうんだろうか?」

 彼女は、彼を静かに見つめた。だが、その瞳は輝き、なにか言葉を探そうとしているかのようだけど、でも、その言葉が見つからないかのように見えた。

 

“Well,” said the girl solidly, “what is there to wake up to?”

“There must be!” cried Inglewood, turning round in a singular excitement—”there must be something to wake up to! All we do is preparations—your cleanliness, and my healthiness, and Warner’s scientific appliances. We’re always preparing for something—something that never comes off. I ventilate the house, and you sweep the house; but what is going to HAPPEN in the house?”

She was looking at him quietly, but with very bright eyes, and seemed to be searching for some form of words which she could not find.

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