チェスタトン「マンアライヴ」一部五章第129回

ピムという名前のアメリカ人紳士も体のむきをかえながら、同じ方向へと動き出したかのように見えた。だが歩きだすまえに、彼はロザムンドに話しかけてきたたが、それは誠実さがにじみでる口調でありながら―その口調には、子供らしい自惚れがずいぶんと戻っていた―、知らず知らずのうちに詩的な口調になるせいで、衒学的な男ではありながら、衒学者と呼ぶには難しいものにしていた。

「大変残念なことながら、ミス・ハント」彼は言った。「でもウォーナー先生にしても、僕にしても、二人とも、その分野における専門医なので言わせてもらいます。スミスさんは、馬車におしこめて追いやった方がいいのです。そのことについてはもう口にしない方がいいと思いますよ。そう興奮するものではありません、ミス・ハント。たぶん、こう考えていらっしゃるのでしょうけど。連れて行かれようとしているものは怪物だと。ここにいたらいけないものだと。お国の大英博物館で見るような神々のひとつであり、それには翼がはえていて、顎髭もあって、足も、目もあるのに、形がない。それがスミスなのです。彼とはすぐに縁がきれますよ」

 

The American gentleman named Pym seemed to be turning and on the move in the same direction; but before he started he spoke to Rosamund with a flash of that guileless tact which redeemed much of his childish vanity, and with something of that spontaneous poetry which made it difficult, pedantic as he was, to call him a pedant.

“I’m vurry sorry, Miss Hunt,” he said; “but Dr. Warner and I, as two quali-FIED practitioners, had better take Mr. Smith away in that cab, and the less said about it the better. Don’t you agitate yourself, Miss Hunt. You’ve just got to think that we’re taking away a monstrosity, something that oughtn’t to be at all—something like one of those gods in your Britannic Museum, all wings, and beards, and legs, and eyes, and no shape. That’s what Smith is, and you shall soon be quit of him.”

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