チェスタトン「マンアライヴ」一部五章第162回

「さあ」マイケル・ムーンが言ったが、その声には妙な響きがあった。「とにかく、君たちはもう家の中にはいっていい。ここにはスミスの持ち物が少なくとも二つある。彼の婚約者もいれば、トランクもあるのだから」

「どういうわけで家のなかに入ってもらいたいというのか」アーサー・イングルウッドは訊いてきたが、赤い眉にしても、こわばった茶色の髪も、苛立ちが限度にまで達したかのように思えた。

「他の方々には、中に入って休んでもらいたいのです」マイケルは明瞭な声で言った。「この庭すべてを貸し切りにしたいのは、そこであなたと話すためです」

 分別を欠いた疑念があたりに渦巻いた。しんしんと冷え込み、夜風が薄暗闇の木をゆらしはじめた。しかしながら、ウォーナー医師は躊躇いのない口調で言った。

「そうしたご提案はお断りします」彼は言った。「君があの狼藉者を見失った以上、我々は見つけ出さないといけない」

 

“Well,” said Michael Moon, with a queer note in his voice; “you may as well all go inside anyhow. We’ve got two relics of Mr. Smith at least; his fiancee and his trunk.”

“Why do you want us to go inside?” asked Arthur Inglewood, in whose red brow and rough brown hair botheration seemed to have reached its limit.

“I want the rest to go in,” said Michael in a clear voice, “because I want the whole of this garden in which to talk to you.”

There was an atmosphere of irrational doubt; it was really getting colder, and a night wind had begun to wave the one or two trees in the twilight. Dr. Warner, however, spoke in a voice devoid of indecision.

“I refuse to listen to any such proposal,” he said; “you have lost this ruffian, and I must find him.”

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