チェスタトン「マンアライヴ」一部五章第167回

「なぜ、みんなは難題を口にするのだと思う?」ムーンはぶっきらぼうに続けた。「たとえ答えを忘れていたとしても。難題は覚えやすいんだよ。推測するのが難しいからね。だから、昔の象徴文字もぎくしゃくとした形で、黒や赤、緑色をしているけれど、覚えるのが簡単なんだよ。推測するのが難しいからね。色もはっきりしている。形もはっきりしている。すべてがはっきりしているけど、意味だけがはっきりしないんだ」

イングルウッドは口をひらくと、感じよく、抗議の気持ちをあらわしたが、ムーンは話し続け、庭園を歩く足も、煙草をふかす速度も、だんだん速くなっていった。「ダンスもだよ」彼は言った。「ダンスは浅薄なものではないんだ。篆刻された文字や文章よりも、ダンスのほうが理解するのが難しい。昔のダンスはぎくしゃくして、儀式めいたものだけれど、色彩ゆたかで、しかも静かなんだ。スミスのことだけれど、奇妙なところがあるのに気がついたことがあるか?」

 

“Why does everybody repeat riddles,” went on Moon abruptly, “even if they’ve forgotten the answers? Riddles are easy to remember because they are hard to guess. So were those stiff old symbols in black, red, or green easy to remember because they had been hard to guess. Their colours were plain. Their shapes were plain. Everything was plain except the meaning.”

Inglewood was about to open his mouth in an amiable protest, but Moon went on, plunging quicker and quicker up and down the garden and smoking faster and faster. “Dances, too,” he said; “dances were not frivolous. Dances were harder to understand than inscriptions and texts. The old dances were stiff, ceremonial, highly coloured but silent. Have you noticed anything odd about Smith?”

 

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