チェスタトン「マンアライヴ」二部一章第196回

「二番目の質問にいく」ムーンは続けたが、その声は幾分素っ気なかった。

「君の話によると、被告人が人を殺そうとした他の事例があるということだが。なぜ、その証拠を提出しなかったのか?」

 アメリカ人はふたたびテーブルを指先でたたいた。「あの場合は」彼は堅苦しく言った。「外部の人間からの証拠がなかった。ケンブリッジの場合とはちがう。証拠となるのは実際の被害者たちだけだ」

「なぜ彼らから証拠を集めなかったのか?」

「実際に被害にあった者たちの場合は」ピムは言った。「難しいこともあれば、ためらうこともあるだろうし」

「君が言おうとしているのは」ムーンは訊ねた。「被害者たちは誰一人として出廷しようとはしなかったということなのか?」

「そういう言い方は大げさというものだろう」ピムは言い返した。

 

“A second question,” continued Moon, comparatively curtly.
“You said there were other cases of the accused trying to kill people.
Why have you not got evidence of them?”

The American planted the points of his fingers on the table again. “In those cases,” he said precisely, “there was no evidence from outsiders, as in the Cambridge case, but only the evidence of the actual victims.”

“Why didn’t you get their evidence?”

“In the case of the actual victims,” said Pym, “there was some difficulty and reluctance, and—”

“Do you mean,” asked Moon, “that none of the actual victims would appear against the prisoner?”

“That would be exaggerative,” began the other.

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