チェスタトン「マンアライヴ」二部一章第218回

おそらく、どちらの男も気がついた瞬間、はっとしたことだろうが、夜明けがせまり、空は灰色の明るい空となり、白々とした色になっていた。それでも片方の男は、驚きの念を隠そうと目論んだ。ブレークスピア・カレッジはゴシックの装飾様式の跡をたしかに受けついでいる数少ない建物なので、イームズ博士のバルコニーの真下からも、おそらくは飛梁だったらしいものが飛び出していたけれど、それは灰色をした獣と悪魔の、醜悪なものとして、まだ形をとどめてはいたが、苔に覆われ、雨のせいで摩耗していた。

 

“Both men were perhaps surprised to see that the gray and white of early daybreak had already come. One of them, however, had emotions calculated to swallow up surprise. Brakespeare College was one of the few that retained real traces of Gothic ornament, and just beneath Dr. Eames’s balcony there ran out what had perhaps been a flying buttress, still shapelessly shaped into gray beasts and devils, but blinded with mosses and washed out with rains.

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