チェスタトン「マンアライヴ」二部一章第230回

「ああ、わからないのですか。わかっていただけないのですか?」青ざめた顔の青年は苛々として叫んだ。「そうしなければならなかったのだ、イームズ。先生が間違っていると証明しなくては。そうしなければ私は死んでいたでしょう。若い頃には、心のさざ波をかきたてる人がいるものです。すべてを知っている人がいるものです。もし知っている者がいいたとすればですが。

ええ、先生は僕にとってそういう存在でした。先生は権威をもって話しますが、書記屋なんかではありません。もし先生が『慰め』がないと言われたら、誰も僕の心を慰めることはできません。もし先生がどこにも何もないと考えるなら、先生はそこに行かれて見たことがあるからでしょう。先生は本当のところ、そうするつもりはなかった。そう僕が証明しなくてはいけない。それがわかりませんか?そうしないなら、運河に落ちてしまうことでしょう」

「そうだね」イームズはためらいながら言った。「君は混乱しているようだが―」

 

“`Oh, don’t you understand, don’t you understand?’ cried the pale young man impatiently. `I had to do it, Eames; I had to prove you wrong or die. When a man’s young, he nearly always has some one whom he thinks the top-water mark of the mind of man— some one who knows all about it, if anybody knows.

“`Well, you were that to me; you spoke with authority, and not as the scribes. Nobody could comfort me if YOU said there was no comfort. If you really thought there was nothing anywhere, it was because you had been there to see. Don’t you see that I HAD to prove you didn’t really mean it?— or else drown myself in the canal.’

“`Well,’ said Eames hesitatingly, `I think perhaps you confuse—’

 

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