チェスタトン「マンアライブ」二部一章第232回

「ああ」イームズはしぶしぶ認めた。「君は正しいよ。最優等学位ものだ」

「そのとおり」スミスは言うと、元気づけられたかのように立ち上がった。「私は名誉ある時を過ごしてきた。だが、もう此処を離れたい。なんとか伝えたいから」

「君は伝える必要なんかない」イームズは静かな自信をこめて言ったが、それは陰謀をめぐらした十二年間からくるものだった。「我々に関する諸々のことは、頂点にいる男から、その男のまわりの人々へと伝えられるものである。私が頂点にいる男だ。だから、まわりの人達に真実を告げる」

がっしりとしたスミスは立ちあがり、しっかりとした足どりで窓辺にむかった。そして其の口調も劣らずしっかりとしていた。「僕が伝えなくてはいけない」彼は言った。「それに人々に真実を教える必要はない」

「なぜ」と相手は訊いた。

 

“`Yes,’ said Eames very slowly, `I think you are right.
You shall have a First!’

“`Right!’ cried Smith, springing up reanimated. `I’ve passed with honours, and now let me go and see about being sent down.’

“`You needn’t be sent down,’ said Eames with the quiet confidence of twelve years of intrigue. `Everything with us comes from the man on top to the people just round him: I am the man on top, and I shall tell the people round me the truth.’

“The massive Mr. Smith rose and went firmly to the window, but he spoke with equal firmness. `I must be sent down,’ he said, `and the people must not be told the truth.’

“`And why not’ asked the other.

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