TheEconomist「20年かけて学んだことーーー学校とは行政から切り離して独立をみとめてこそ上手くいくーーーを裏づけるアメリカとイギリスからのレポート」

Education: A 20-year lesson | The Economist.

2012年7月7日 エコノミスト

多くの教育者たちが希望をもてない独裁政治に屈服すること数十年間、ついに教育はどん底にまで沈んだ。ニューヨークやロサンゼルス、ロンドンのような豊かな大都会に住んでいる貧しい子供たち、その多くは黒人だが、そうした子供たちが学習するにあたって多大な困難に直面しているだろうと思われてきた。学校が子供たちの将来をどうにかできるという希望を抱くには、貧困の問題が最初に「解決」されなければならない。だが、それは叶わない願いだった。

こうした風潮のせいで粗末に扱われてきた人々は、あらゆる年齢層におよぶ。しかし20年前、ミネソタ州のセントポールで、アメリカで最初のチャータースクールが革命を起こした。現在、チャータースクールは5600校になる。チャータースクールは公の資金で設立されるが、その大半は地元の教育関係の行政から独立している。また行政と不健全な共存関係にある教職員組合からも独立している。

チャータースクールは三つの理由から、議論の余地がある。チャータースクールとは、「民営化」への「試み」であるということ。チャータースクールとは、組織からの迂回路でありバイパス的存在であるということ。さらにチャータースクールの結果は玉石混合であるということ。アーカンサス、コロラド、イリノイ、ルイジアナ、ミズーリなどの州では、数学と英語において、チャータースクールの生徒の結果は、従来の公立学校の生徒より優れていた。しかしアリゾナとオハイオでは、チャータースクールの結果は芳しくなかった。

しかしながら、こうした実験には素晴らしい長所がある。それはチャータースクールについて知ることができるという点である。どのようにチャータースクールを運営すればよいのか、そしてどのような地域でチャータースクールが一番よく機能するのかということが、今だんだんと明らかになりつつある。貧しい生徒のうち、都市部に住んでいて英語から学習しているような生徒たちは、チャータースクールのほうがうまくいく。貧しい生徒がすぐに学校でうまくいかなくなる様子が身近に見受けられるような状況にあれば、チャータースクールは非常によく機能するのである。一番の長所は、ほとんどのチャータースクールが組合に束縛されていないため、もし失敗しても簡単に閉鎖することができるという点にある。

この改革は、世界中に広がりつつある。イギリスでは、旧労働党政権により、地元の役所から干渉されることのない学校が切り開かれた。最初のうち、チャータースクールは、スラム地区のインナーシティだけに規制されていた。それまでインナーシティの学校はことごく失敗していた。しかし、保守党と自由党が連立したことにより、チャータースクールはターボチャージをとりつけたように成長していき、さらに成功したスェーデンの実験を模範にして「フリースクール」に着手した。スェーデンの実験校は、さらに独立色の強いものだった。今年12月までに、イギリスの学校のうち半分はアカデミーかフリースクールになるだろう。フリースクールは新しくできたばかりなので、その結果は判断できない。しかしアカデミーのGCSE(15歳か16歳で受けるテスト)の結果は、全体として公立学校の倍の速さで改善されている。

学校の独立を認めるということは、それが適切な観測のもとで、正しい方法で行われるものであり、自治体からの規制がかかり保護されるものであるかぎりにおいて、うまく動いていくものである。しかしながら実施するには、政治上の困難さが残る。こういうわけで、政府からの強い支援が必要なのである。イギリスは、学校が独立するのに必要となる支援をしている。アメリカは、チャータースクールへのわざとらしい数の規制を終わりにするべきである。また他の学校と同じように、チャータースクールにも基金を提供するべきである。

私たちができる最低限のこと

国が豊かであっても、年輩者たちは子供たちのために行動していない。巨大な公共部門の負債を返済することになるのは、子供たちなのである。両親たちの年金と健康保健という途方もない支払いを求められているのも、子供たちなのである。そうした子供たちは仕事を求めて、新興国から来る人々と競争しなければいけない。多くのそうした国々の人たちは収入が低いにもかかわらず、すっと良い教育制度で教育を受けていきた。大人たちが子供たちのためにできる最低限のことは、まず公立学校を改善することである。公立学校を行政から自由にしても、余計な費用はかからない。考慮するに値することだろう。(Lady DADA訳・BlackRiverチェック)

 

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