2017.10 隙間読書 泉鏡花『幼い頃の記憶』

『幼い頃の記憶』

作者:泉鏡花

初出:1912年「新文壇」

汐文社文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 恋

泉鏡花がまだ母の乳が恋しいような幼な子のとき、ふと出会った少女にずっと恋慕する思いとその出会いの記憶をたどる短編。


東雅夫氏の編者解説に「あなたは『恋』という言葉の意味を誤解していませんか。論より証拠。辞書を引いてみましょう」と広辞苑の「恋」の項目をあげられている。私も、自分の広辞苑を引いてみたら、たしかに恋の意味を誤解していた。

広辞苑によれば、恋とは

①一緒に生活できない人や亡くなった人に強くひかれて、切なく思うこと。また、そのこころ。特に男女間の思慕の情。恋慕。恋愛。

②植物や土地などに寄せる思慕の情。

恋とは一緒に生活できる人に対する感情ではない…と確認。別に男女間でなくてもいいし、土地や植物でいいのだと発見。

ちなみにODEによれば、loveとは

a strong feeling of affection and sexual attraction for someone

日本語のように一緒に生活できない人に…という意味はないようだが。恋の概念が、日本語と英語で違うのだろうか?


「幼い頃の記憶」の最後の文も、まさに生活できない人や亡くなった人にひかれて、切なく思うこと…という日本語の恋の定義にぴったりである。「確かに会えると信じている」という締めの文の強さ…そんな思いで鏡花が書いた作品をもっと読んで見たいと思う。

    それで、道を歩いていても、ふと私の記憶に残ったそういう姿、そういう顔立ちの女を見ると、もしや、と思って胸を躍らすことがある。

 もし、その女を本当に私が見たものとすれば、私は十年後か、二十年後か、それは分からないけれども、とにかくその女にもう一度、どこかで会うような気がしている。確かに会えると信じている。

読了日:2017年10月11日

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