『奥の部屋』
作者:エイクマン
初出:1968年、Sub Rosa
ちくま文庫
幼い頃、不思議な玩具店で私は人形の家を買ってもらったが、それは悪夢の始まりだった。やがて人形の家を手放すことになるが、数十年してからさ迷いこんだ森の中で、あの人形の家と同じ家を見つける。家の中には、人形と同じ人々がいた。
エイクマンは言葉を費やして人形の家についても、森の中の家についても細かく描写している。だが家の様子が浮かんでこない。私の背景知識がないのか、それとも細かく描写しながら全体が浮かんでこないという不気味さを意図したのだろうか…なんとも分からない。
私が人形に感じる妖しい美しさ…が漂ってこない。もしかしたら人形に対する感性は、日本と外国では違うのだろうか?そのようなことを不気味な『奥の部屋』を読みながら、文楽大好きな私は考えた。
読了日:2017.12.11