2017.12 隙間読書 佐藤春夫「女人焚死」

「女人焚死」

作者:佐藤春夫

初出:1951年(昭和26年)改造

信濃の山中で見つかった農婦の焼死体。佐藤と思われる作家がその事件について、関係人物の心境やら農婦の気持ちをあれこれ推測する。

そんなふうに、そこまで人の心を考えるのか…という驚きも心地よい、エログロが流行りだした世を語る口調も楽しい、信濃の自然描写も佐藤ならではの語り口である。ただし結末には驚きはない…それでもいい作品だなあと思う。

猟奇的といふ文字は、自分が curiosity hunting の訳語として造語した

この一文にもびっくりした。「猟奇的」という言葉が佐藤春夫発だったとは…。

最初、そういふ用法を予期しなかっただけに、それを見ると必ず腹立たしくなるのを禁じ得ない。

ただし佐藤春夫はcuriosity hunting 「好奇心を満たす狩猟?」という英語の訳語として考えたようで、今の「猟奇的」という意味で考えたわけではない。…ということもわかって楽しい作品だった。

読了日:2017年12月18日

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