2018.05 隙間読書 モーパッサン「オルラ」青柳瑞穂訳

「オルラ」

作者:モーパッサン

訳者:青柳瑞穂

世界幻想文学大全 怪奇小説精華収録

狂気にとりつかれる過程を克明に記す書き方は、モーパッサンならでは。冷静に、克明に狂気を語るその口調が怖い。

最初、幸せな光景であったセーヌ河を通る白い帆船が、のちに狂気の由来に暗転するという設定も、幸せが一瞬でぐらりと崩れそうで怖い。

「ああ!ああ!今こそ思い出す。去る五月八日、三本マストの美しいブラジル船が、セーヌ河を遡る途中、おれの窓の下を通ったことを思い出す!その時おれは、あの船をすこぶる美しいと、純白だと、軽快だと思ったものだ。あいつはその船に乗って、あいつの種族が発生したあの地方から来る途中だったんだ!そして、あいつはおれを見たんだ!おれの家もやっぱり純白なのを見て、急に船から岸へ飛びおりたんだ。おお!神様!」

昔、日本には、疫病は列車で運ばれる…という考えがあって、今でも駅と県庁が離れている都市があるのは、その名残とも聞くが。外国からの船が入ってくるヨーロッパでは、河が得体の知れない病を運んでくる…という恐怖もあったのだろうか…。

読了日:2018年5月1日

 

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