チェスタトン「マンアライヴ」二部三章第317回

「その男があらわれたのは夜のことでしたし、しかも突然でしたから、緑の木々の頂にざわざわとした気配を認めないまま、その木々のむこうをまるで海を見るように眺めながら、朝になると私は寺の塔へと出かけたのでした。それでも彼がきますと、あたかもインド皇帝軍から象がはぐれたような勢いでありました。椰子の木がへひしゃげ、竹が割れたところに、朝日をあびながら寺院のまえに現れたのは、ふつうの人よりも背が高い男でした。

紅と白の紐がその男にまとわりつき、お祭りのリボンのようでした。そして彼は棒を持ち歩いていましたが、その棒の握りの上には歯が一列にならび、まるで竜の歯のようでありました。その顔からは血の気が失せ、取り乱している有様は外国人のようで、悪魔がいっぱいとりついた死者のように見えるほどでした。ですが、その男は、私たちの言葉を随分くだけた調子で話しました。

彼は私に言いました。「ここはただの寺じゃないか。見つけようとしているのは家なんだ」それから不作法なくらいに性急に話したところによれば、家の外にあるランプは緑色で、角には紅い郵便ポストがあるということでした。

“The sky-breaker came at evening very suddenly, for I had hardly seen any stirring in the tops of the green trees over which I look as over a sea, when I go to the top of the temple at morning. And yet when he came, it was as if an elephant had strayed from the armies of the great kings of India. For palms snapped, and bamboos broke, and there came forth in the sunshine before the temple one taller than the sons of men.

“Strips of red and white hung about him like ribbons of a carnival, and he carried a pole with a row of teeth on it like the teeth of a dragon. His face was white and discomposed, after the fashion of the foreigners, so that they look like dead men filled with devils; and he spoke our speech brokenly.

“He said to me, `This is only a temple; I am trying to find a house.’ And then he told me with indelicate haste that the lamp outside his house was green, and that there was a red post at the corner of it.

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