チェスタトン「マンアライヴ」二部三章第331回

「私の祖母なら言ったことでしょう」私は低い声音で言いました。「私たちは皆、流浪の民であると。そして、この世の家にいるかぎり、休むことも禁じられた、ひどいホームシックを癒やすことはできないと」

彼は長いあいだ黙り込み、一羽の鷲がただよって「緑の指」をこえ、暗がりの闇に吸いこまれていく様子を眺めていました。

それから彼は言いました。「君のおばあさんは正しかったと思うよ」立ち上がると、草のからんだ棒によりかかりました。「それには道理があるにちがいない」彼は言いました。「人間の生はなんと神秘にみちたものか、恍惚に我を忘れるときもあれば、思いが充たされないときもある。けれども、もっと言うべきことがある。神は特別な場所への愛をさずけてくださったのだと。家族の者たちがいる炉辺への愛、そして故郷への愛を。もっともな理由があったからだが」

“`My grandmother,’ I said in a low tone, `would have said that we were all in exile, and that no earthly house could cure the holy home-sickness that forbids us rest.’

“He was silent a long while, and watched a single eagle drift out beyond the Green Finger into the darkening void.

“Then he said, `I think your grandmother was right,’ and stood up leaning on his grassy pole. `I think that must be the reason,’ he said—`the secret of this life of man, so ecstatic and so unappeased. But I think there is more to be said. I think God has given us the love of special places, of a hearth and of a native land, for a good reason.’

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