2018.07 隙間読書 有吉佐和子「開幕ベルは華やかに」

1982年に有吉佐和子が書いた最後の長編である。

殺人も出てくるし、刑事さんも出てくるミステリなんだけれど、読後に印象に残るのは二人の俳優、八重垣光子と中村勘十郎の傍若無人なふるまいと演劇界の暗黒めいた部分である。

台詞をまったく覚えようとしない七十代の老優たちだけれど、舞台にたつと不思議、プロンプターの助けを借りながら、時には脚本をまったく無視して自分が魅力的にみえるように舞台を勝手にかえていく。この老優たちに笑っているうちに事件は進行していく。

笑いながら読んでいたせいで、なぜ光子の付き人、波子はこの境遇に耐えたのだろうか…という点が分からなくなってしまった。自分につくしてくれるファンもいるのに、なぜ我儘な光子に耐えたのだろうか?

最後の方に退職刑事の家にあつまって、刑事の妻がつくったおでんを皆で食べながら事件をふりかえる場面があるが、個性的とも異常とも言える老優たちを見てきたあと、なんとも安堵するものを感じる場面であった。

2018年7月17日読了

 

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