チェスタトン「マンアライヴ」二部四章第403回

「ムーンさんは」ピムは上機嫌でいった。「この制度について、ずいぶん時代遅れの考え方をしている。おそらく、この制度について厳しくとらえ、画一的な考え方をしている。離婚について考えるとき、ムーンさんは鉄のような心でとらえるのだろう。ジュリアス・シーザーの離婚について考えるときも、ソルト・リング・ロビンソンの離婚について考えるときも、同じようにみているんだ。ろくでなしの浮浪者や労働者が妻から逃げ出すときと同じように。でも科学の視点はもっと広いものだし、人間らしいものなんだ。科学者にとっての殺人は、絶対的な破滅への渇きからなんだ。それと同じように科学者にとっての盗みとは、つまらないものを手にいれることへの飢えなんだ。だから科学者にとって一夫多妻制とは、多様性を求める本能がいちじるしい発展をとげたものなんだよ。こんなふうに苦しむ人間には不変性を求めることはできない。あきらかに肉体的な理由があって花から花へと飛びまわる。それはあきらかに、断続的なうなり声がきこえるから、そのせいで今、ムーンさんが苦しんでいるように見えるのと同じことだ。

“Mr. Moon,” said Pym with exquisite good temper, “probably regards the institution in a more antiquated manner. Probably he would make it stringent and uniform. He would treat divorce in some great soul of steel—the divorce of a Julius Caesar or of a Salt Ring Robinson— exactly as he would treat some no-account tramp or labourer who scoots from his wife. Science has views broader and more humane. Just as murder for the scientist is a thirst for absolute destruction, just as theft for the scientist is a hunger for monotonous acquisition, so polygamy for the scientist is an extreme development of the instinct for variety. A man thus afflicted is incapable of constancy. Doubtless there is a physical cause for this flitting from flower to flower— as there is, doubtless, for the intermittent groaning which appears to afflict Mr. Moon at the present moment.

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