2018.11 隙間読書 泡坂妻夫 「夜光亭の一夜 宝引の辰捕者帳ミステリ傑作選」

江戸の市井の人々の暮らしを感じつつ楽しく読んだ。江戸時代の風俗がわからないと思いもよらないトリックばかり。お雛さまを転がしてメッセージをつたえる「雛の宵宮」の他愛のなさが気に入った。

「鬼女の鱗」

思い描けないものながら華やかな刺青の紋様を語る描写にも、いきなり籠でどこと分からないお武家に刺青師が連れていかれる展開にも、木の葉を隠すなら…的な発想も面白く読む。


「辰巳菩薩」

吉原の花魁の世界、辰巳芸者の世界が見えるように書かれていて面白い。ただ、この心理合戦はいまだにストンと納得できないものがある。


「江戸桜小紋」

「江戸桜小紋」「咲かずの桜」と名前もよし。ただ、そういう理由でそういうことをするのかという驚きはあれど、納得できる気はあまりしない。


「自来也小町」

そのような書の書き方があったとは…。


「雪の大菊」

両替商人の娘と足袋職人のかなわぬ恋。娘が嫁ぐ予定の米問屋、雪の夜に打ち上げられた花火の謎と江戸の暮らしを楽しむ。


「夜光亭の一夜」

夜光亭浮城というオランダ人医師と丸山の遊女のあいだに産まれた手妻師をめぐる席亭の風景を楽しく読む。


「雛の宵宮」

大和屋に飾られた雛人形がいく組か、毎夜、畳の上に転がされてる。雛人形のメッセージとは? 面白く読んだが、江戸時代の主従関係は理解を超えている。


「墓磨きの怪」

夜中にまとめて何者かが墓をまとめて磨いていく。その目的は…想像もつかなかった。


「天狗飛び」

建具職人の一家と宝引の辰一家が大山参りに出かけるが道中続く不幸。その真相は…このこだわりも理解できなかったが、大山参りの様子などが面白かった。


「にっころ河岸」

酔っぱらった畳職人がのぞきこんだ家には、膝に自分の首をおいた女がいた…。語り手が少年時代の森の中で体験した不思議な出来事やら怪奇テイストのある作品、。


「雪見船」

講釈師「伯馬」が高座で急にしゃべれなくなった理由とは? 当時の席亭の様子興味深く読んだ。


「熊谷の馬」

朝契さんはなぜそんな博打打ちが集まるような寺の再建をしようと思ったのだろうか…というあたりが曖昧かな。


「消えた百両」

商家におしいる賊を捕らえた後に待ち受ける災難…と二重にも楽しめた思いがする。

2018.11.06読了

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