ジョージ・エリオット「ミドル・マーチ」第一巻第一章(No.5)

和訳)

姉のドロシアはパスカルのパンセや英国国教会主教のジェレミー・テーラーの節をたくさん諳んじていた。そんな彼女だから、キリスト教の見地に照らして人間の運命を考えてみると、女性の装いについて気づかったりするような振る舞いは、ロンドンにあるベドラム精神病院で時間をつぶすにも等しい愚行に思えた。永遠の意義をもつ精神的な生活に心をくだきながら、かたや縁飾りやドレープの芸術的な凹凸について強い興味をいだくような生き方は、彼女にはできなかった。

英文)

Dorothea knew many passages of Pascal’s Pensées and of Jeremy Taylor by heart; and to her the destinies of mankind, seen by the light of Christianity, made the solicitudes of feminine fashion appear an occupation for Bedlam. She could not reconcile the anxieties of a spiritual life involving eternal consequences, with a keen interest in gimp and artificial protrusions of drapery.

メモ)

ここでドロシアが好んでいる作家パスカルやジェレミー・テーラーは独特のスタイルで知られている。美的傾向があると同時に、宗教的な喜びにみちた文を書く作家である。この箇所では、ドロシアが考えることよりも、他の喜びに引きずられそうになることを防いで、「よいひと」になりたいと思う様を描き、その若々しい願いを書いている。

パスカル「パンセ」第二版

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