ジョージ・エリオット「ミドルマーチ」第一巻第一章(No.9)

訳)

ブルック氏の身体には清教徒的な行動力が代々受けつがれてきたのだが、その力もあきらかに沈滞していた。だが姪のドロシアの心には、清教徒的な思いが真っ赤に燃え、それは罪にたいしても、徳にたいしても同様で、時々、叔父の話しぶりや「放っておけばいい」という態度にじりじりとしては、早く成年に達して、思いやりのある計画にお金をだせるようになりたいと切望した。彼女は、女子相続人として見なされていた。姉妹がそれぞれ両親の遺産から年に七百ポンドを得ていたせいだけではなかった。もしドロシアが結婚して息子をひとり生んだなら、その息子はブルック氏の財産を相続することになるからである。それは地代から推定で一年に三千ポンドほどのもので、地方の人々にとっては富とも言える金額だった。この地方の人々ときたら、いまだにカソリックの質問に関するピール氏のふるまいについて論議している有様で、これから何処が金鉱地になるのかということについても知らず、煌びやかな金権政治についても、そうした政治が褒めたたえてきた上流社会という必要品について無知であった。

原文)

In Mr Brooke the hereditary strain of Puritan energy was clearly in abeyance; but in his niece Dorothea it glowed alike through faults and virtues, turning sometimes into impatience of her uncle’s talk or his way of “letting things be” on his estate, and making her long all the more for the time when she would be of age and have some command of money for generous schemes. She was regarded as an heiress; for not only had the sisters seven hundred a-year each from their parents, but if Dorothea married and had a son, that son would inherit Mr Brooke’s estate, presumably worth about three thousand a-year – a rental which seemed wealth to provincial families, still discussing Mr Peel’s late conduct on the Catholic question, innocent of future gold-fields, and of that gorgeous plutocracy which has so nobly exalted the necessities of genteel life.

サー・ロバート・ピール

コメント)

サー・ロバート・ピールはイギリスの政治家だが、ミドルマーチが書かれる二十年ほど前に亡くなっている。そのくらい時代遅れの政治家だということだろう。登場人物について収入から緻密に書こうとするジョージ・エリオットの作風にはあまり魅力を感じない。だが当時のイギリスの社会を知るという点では魅力がある。

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