アメリア・B・エドワーズ「あれは幻影だったのか、それとも……? ある司祭の報告」No.8

その顔には異様なところがあり、血の気は失せ、不安そうな表情がうかんでいた。目つきにも警戒の色がうかんで、おびえているようにもみえる様子に、わたしは妙な不快感におそわれた。

「ええ」わたしは返事をしながら、いつ、どこで彼に会ったのか思い出そうとした。「わたしの名前はフレーザーです。あなたはたしか、そう、ええっとー」そこでわたしはポケットに手をさしこみ、視察の書類をとりだそうとした。

「スケルトンです。スケルトン・エベネザー。最初、男の子たちから話を聴きますか、サー?」

言葉はありふれたものだけれど、男の物腰には用心深いところがあって、敬意の表明のしかたにも不快なところがあった。名前を告げはしたけれど、言わば不承不承であって、さほど重要ではないから言うまでもないという様子であった。

わたしは少年たちから始めようと答えてから移動した。そのときにようやく気がついたのだがーそれまではじっと立っていたので気づかなかったー校長は足が不自由だった。そして、わたしは思い出した。彼は、わたしが霧のなかで出くわした男だった。

「昨日の午後、お会いしましたね、ミスター・スケルトン」学校の応接室に入ると、わたしは声をかけた。

「昨日の午後ですと、サー?」彼は繰りかえした。

「わたしが目に入らなかったようですが」わたしは相手の反応には頓着しないで言った。「あなたに声をかけたのですよ、実際のところ。でも返事はありませんでした」

「そうだとしたら申し訳ありませんが、サー。それは他の者にちがいありません」校長はいった。「昨日の午後は外出しませんでしたから」

どうしても、この言葉は嘘にしか思えないだろう。顔だけならば、わたしも間違えることもあるだろう。相手が異様な顔をしていたとしても、そしてわたしがその顔をじっくり見ていたとしてもだ。でも、不自由な足を間違えることがあるだろうか? そのうえ、足首を骨折したような、妙な右足の引きずり方には尋常ではない不自由さがあった。

わたしが猜疑心にかられた顔をしたのだろう。彼は急いで言い足した。「たとえ視察のために少年たちに用意をさせていなかったとしてもですよ、サー。昨日の午後は、外出しなかったでしょう。じめじめとした霧の多い日でしたから。わたしは用心しないといけないのですよ、胸が弱い質なので」

It was a singular face, very pallid and anxious-looking. The eyes, too, had a watchful, almost a startled, look in them, which struck me as peculiarly unpleasant.

‘Yes,’ I replied, still wondering where and when I had seen him. ‘My name is Frazer. Yours, I believe, is-is-,’ and I put my hand into my pocket for my examination papers.

‘Skelton-Ebenezer Skelton. Will you please to take the boys first, sir?’

The words were commonplace enough, but the man’s manner was studiously, disagreeably deferential; his very name being given, as it were, under protest, as if too insignificant to be mentioned.

I said I would begin with the boys; and so moved on. Then, for we had stood still till now, I saw that the schoolmaster was lame. In that moment I remembered him. He was the man I met in the fog.

‘I met you yesterday afternoon, Mr Skelton,’ I said, as we went into the school-mom.

‘Yesterday afternoon, sir?’ he repeated.

‘You did not seem to observe me,’ I said, carelessly. ‘I spoke to you, in fact; but you did not reply to me.’

‘But-indeed, I beg your pardon, sir-it must have been someone else,’ said the schoolmaster, ‘I did not go out yesterday afternoon.’

How could this be anything but a falsehood? I might have been mistaken as to the man’s face; though it was such a singular face, and I had seen it quite plainly. But how could I be mistaken as to his lameness? Besides, that curious trailing of the right foot, as if the ankle was broken, was not an ordinary lameness.

I suppose I looked incredulous, for he added, hastily:.‘Even if I had not been preparing the boys for inspection, sir, I should not have gone out yesterday afternoon. It was too damp and foggy. I am obliged to be careful-I have a very delicate chest.’


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